「とりあえず、2週間考えて答えを思いつかないときは、1手目だけ答えを見るようにしました。」

「なるほど。先に進まなければ、脳トレにはならないでしょうから、1手目だけ答えを見るのはしかたがないですよね」と町会長。

「僕も、そう思ったのですが、そのうち、1手目を見ても、答えを思いつかない問題が出てきてしまったのです。」

「それで、どうしたのですか」と町会長。

「2週間考えて答えを思いつかないときは、3手目の答えを見るようにしました。」

「2手目はソフトが打つので、3手目を見ることになるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、1問解くのに1カ月近くかかってしまうのではありませんか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『詰碁850』を最後までやるのに2年以上かかっています。」

「そんなにかかったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『詰碁850』を5回やってから、次の『最強の問題730』に行くのに3年くらいかかっています。」

「そんなにかかったのですか」と町会長。

「2度目は簡単にできるだろうと思って、最初からやり直したのですが、初級問題でさえ、たまに、間違えるのです。有段問題になると、何日も考えた問題は不思議なことに解けないのです。」

「何日も考えた問題は、2度目に解こうとしても、解けないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。何日も考えた問題は、何日も間違った手を考えているので、間違った手が思い浮かんでしまうのです。」

「なるほど。」

「大学時代、方法論も研究したので、詰碁をするときも、方法論的アプローチを考えてやってみたのですが、どうしてもうまく行かないのです。」

「どういう方法論を考えたのですか」と町会長。

「最初に考えたのは、どうしても答えが思いつかない場合は、1手目が可能な点を全てチェックし、それぞれの点に対して、2手目を全て考えるというような、網羅的な方法でした。」

「なるほど。それなら、解けそうですね」と町会長。

「それで、詰碁が解けるのならAIが詰碁を解けることになります。」

「AIは詰碁が解けないのですか」と町会長。

「そうなんですよ。市販の一般的なパソコンで使える囲碁ソフトで最強レベルのものだと、低段者問題くらいのレベルのものならほとんど解けるのですが、高段者レベルの問題になると解けないものがかなりあります。碁盤上の全ての点を網羅的に計算すると、途方もない時間がかかるので、現実の問題としては難しいのだと思います。」

「それは、驚きですね」と町会長。

「そのため、AIは、人間と違って、詰碁の手順を正確に読もうとはしていないのです。」

「『AIが詰碁の手順を正確に読もうとはしない』と言いますと?」と町会長。 

「AIは、モンテカルロ法という一種の確率計算法でシミュレーションをして、碁を打ちます。」

「『一種の確率計算法でシミュレーションをして』と言いますと?」と町会長。

2021/3/29

<水道後記17>
ウェブで調べてみると、磁石を使った釘に反応する原始的なセンサーもあることが分かった。卵大の小さいセンサーで、中央に1センチぐらいの長さの棒磁石が入っている。このセンサーをアマゾンで購入して、床の上で滑らしてみると、釘に近づくにつれて棒磁石が頭を上げ始め、真上に来ると垂直に立った。実に分かりやすい。

『なぜ、ここにくぎが打ってあるのだ』と思うような所で磁石が垂直に立つこともあるが、このセンサーのおかげで根太の位置が推定できた。

大引は根太と直角方向にあることが分かっている。1本目は壁の下なので、壁から90cm離れたところに2本目があることになる。

結論としては、システムキッチンが移動できないので、開口寸法が410×410mmの床下点検口を使っても、根太は1本切らなければならないことが分かった。<続く>

※『100問連続正解者のための世に知られざる秘密の話』の第2話は、3月18日(月)の予定です。それに伴い、この日の『世に知られざる秘密の話』のアップロードはお休みとなります。


2024/3/15