「僕は、自分から打っていけば勝てないと考えていたので、正眼に構えて、父が仕掛けてくるのを待ちました。」

「お父さんは、面を打って来たのですか」と町会長。

「父も正眼に構えたままだったので、5分ほどにらみ合いになりました。」

「お父さんとしては、予想外の展開になったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。5分ほどにらみ合うと、『今日は、ここまでにしておこう』と言って、僕の竹刀を取り上げてしまいました。」

「お父さんは、なぜ、『今日は、ここまでにしておこう』と言ったのでしょうか」と町会長。

「その後、赤胴の防具は、玄関を入ってすぐのところの3畳の畳敷きの部屋に、ずっと飾ってあったのですが、秋山先生のところで剣道の練習をする話は立ち消えてしまったのです。」

「それは、不思議な話ですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『秋山先生のところで剣道の練習をする話』は、どうなったのか聞いてみなかったのですか」と町会長。

「僕は、父が僕の剣道の才能に気がつき、『一度も練習もしたことがない子供に、一本取られたら、父親としての権威がなくなってしまうと考えたのだ』と思いました。」

「それでは、お父さんに理由を聞くことはできませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「渡辺さんは、お父さんを超える剣道の才能があると考えていたのですね」と町会長。

「そのときは、そう思いました。母が、『子供のころ、なぎなたの練習をさせられていた』と言ったことがあるので、母方は剣術家の家系だが、父方は剣術家の家系ではないのだろうと思っていました。」

「こう言ってはなんですが、現役の剣道2段のお父さんが、全く剣道の練習をしたことがない小学4年生から一本取られるなどということは、どう考えても、ありえないと思いますが」と町会長。

「秋山先生に問題が起こったという可能性はなくもないと思っていたのですが、中学生になったとき、体育の時間に全く同じ場面に出くわしたのです。」

「『全く同じ場面に出くわした』と言いますと?」と町会長。

「体育の時間に、中光先生が竹刀を2本持ってきて、竹刀の持ち方や足の運び方を説明したのです。」

「なるほど」と町会長。

「そして、説明が終ると、僕に竹刀を1本持たせて、好きなように打ってくるようにと言ったのです。」

「小学4年生のときと、全く同じ状況ですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕は、小学4年生のとき、父と立ち会ったときのことを思い出し、正眼に構えました。」

2021/5/12

<筆者の一言>
息子は会社での昼食に、160グラムの発芽玄米パックを持参し、会社の電子レンジでチンして食べていた。玄米の他には、アマゾンで購入した『骨にカルシュウムプラス』を2枚、うずらの卵を1つ、ごま塩と筆者が漬けた梅干しを持って行き、会社の近くにあるセブンイレブンでサラダとお茶を購入して食べていた。

今となっては、『骨にカルシュウムプラス』も、うずらの卵も発芽玄米パックも陰のものしかアマゾンで買えないので、セブンイレブンで購入できるものを中心に会社の昼食を組み立てている。

筆者が漬けた梅干しは、正確に言えば、梅干しとは言えない。梅を干していないからだ。梅を干さないで塩と生味噌で漬けている。梅干しを漬けるようになったのは、つい最近のことで、我流で漬けてみると、頭の皮膚が緩むことが分かった。皮膚の中で可動性が最も悪いのは、髪の毛が強い陰のため頭の皮膚だ。皮膚を緩め肺の機能を上げるには筆者の漬けた梅干しで頭の皮膚をゆるめることが必要なのだ。<続く>

2024/4/29