「東京消防庁の剣道部会は警視庁の猛者と、毎月、親善試合をしていたようです。」

「それでは、お父さんは、全国大会で上位に行くような警視庁の猛者と定期的に練習ができたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。父は、警視庁の猛者とは異常に仲良くしていて、スピード違反で捕まった時には、電話一本でなかったことにしてもらっています。」

「そんなことができるのですか」と町会長。

「昭和時代だからできたのだと思います。ウィキペディアの『術科特別訓練』に、『術科特別訓練とは、日本の警察において術科(柔道、剣道、逮捕術、けん銃射撃その他,白バイの乗務)を振興、強化する訓練・・・武道専科の剣道は竹刀剣道のみならず警視流木太刀形、小野派一刀流、居合、杖術など古流の形も習得する』という記載があるので、関東軍時代に父のうわさを聞いた人は、何としてでも友人になりたいと思う人がいたのだと推定しています。」

「なるほど。ところで、毎日10キロも走ったら、脳が活性化酸素で機能低下を起こしたりしないのですか」と町会長。

「父の場合は、1日数10キロ走っていたこともあるので、普通であれば、脳の機能低下で日常生活に支障が出るはずです。」

「しかし、関東軍時代に、なんの問題もなかったようですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。先ほど、天才系の中に、『超天才系』と呼ぶべき特殊な進化をした種族がいるという話をしましたが、それ以外に『棒術系』と呼ぶべき特殊な進化をした種族がいると推定しています。」

「『棒術系』と言いますと?」と町会長。

「僕は、先ほど言ったように、『人間は全て左手首に経絡的な問題がある』と考えているので、手首の腎兪と名付けたツボを、毎日、治療しています。その結果、ある日、右手の手首に左手首を超えるような問題が現れたのです。」

「『左手首を超えるような問題』と言いますと?」と町会長。

「右手首に巨大な硬結が現れ、それ以上緩まない状態になり、右手の指の関節が手首と連動していて緩まなくなってしまったのです。」

「右手首に硬結が現れたために、治療が進まなくなってしまったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。そのうち、右肘や右肩にも硬結が現れ、全身の可動性に大きな問題を及ぼしていることが分かってきました。」

「痛みはなかったのですか」と町会長。

「肘や肩の硬結で神経が圧迫されるので、痛みがある人もいるのですが、痛みがあると医学的には頸肩腕症候群と呼ばれます。」

「肘や肩に問題があっても、痛みがなければ、頸肩腕症候群ではないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。日常生活に問題がなければ、同じように肘や肩に東洋医学的な問題があっても病気ではありません。」

「それは知りませんでした」と町会長。

「ウィキペディアの『頸肩腕症候群』に、『頸肩腕症候群は、首筋から肩・腕にかけての異常を主訴とする整形外科的症候群の一つである。肩腕症候群、頸腕症候群などともいう・・・広義の頸肩腕症候群は、首(頸部)から肩・腕・背部などにかけての痛み・異常感覚(しびれ感など)を訴える全ての症例を含む。この中で、他の整形外科的疾患(たとえば変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群など)を除外した、検査などで病因が確定できないものを(狭義の)頸肩腕症候群と呼ぶ』という説明があります。」

「それでは、医者から『頸肩腕症候群ですね』と言われたら、狭義の頸肩腕症候群を指すということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。医者が『頸肩腕症候群ですね』と言うのは、『原因が分かりません』というより、患者が納得しやすいからだと思います。」

2021/6/16

<イエスズメ外伝6>
5月半ばになると、梅の木の周りにアシナガバチや他の昆虫を見かけるようになった。『雨の日も多いし、温かいので昆虫が増え始めたのだな』と思った。ところが5月末に、梅をもごうとしたら、昆虫は1匹もいなかった。

去年までは、どの梅の木にも鈴なりになっていたので、スズメバチがいなくなった夕方遅く、たくさんなっている枝を切り落とすだけで、1年間食べるには十分な数があった。今年は、外庭の南東の角に生えている梅の木にしか梅の実はなっていない。数も思い切り少ない。

アシナガバチがいるので、防御服を用意し、梅の実がよく見える日中にもぐことにした。ところが、いざもごうとしたらハチは1匹もいない。昆虫はイエスズメやシジュウカラや、5月になって増えてきたうぐいすなどに、増えるそばから食べられてしまっているのかも知れない。繁殖期に入ったカラスの鳴き声も時々聞こえるようになっている。<続く>

2024/6/3