「どんぶりでお湯を沸騰させようとはしていません。」

「それでは、どうするのですか」と町会長。

「どんぶりに、いりこをたっぷり入れます。」

「『いりこ』と言いますと?」と町会長。

「関西では、煮干しのことを『いりこ』というようです。」

「しかし、『煮干し』と言わずに『いりこ』というからには、何か違いがあるのではありませんか」と町会長。

「おっしゃる通りです。味噌汁に北海道産の煮干しを入れていたのですが、あるときアマゾンで『煮干し』を検索したら『いりこ』が表示されたのです。」

「『煮干し』と何が違うのだと思って、試しに購入したということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『煮干し』と『いりこ』は、どこが違うのですか」と町会長。

「『いりこ』は瀬戸内海産で、大きさが煮干しの半分くらいです。」

「なぜ、『いりこ』を中華そばに入れるのですか」と町会長。

「深い考えがあって、入れたわけではありません。カスタマーレビューに『ラーメンにたっぷり入れる』という書き込みがあったのです。」

「それで試しに入れたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。その書き込みを読んだとき、『ラーメンに煮干しを入れるのか!』と思ったのですが、試しに入れてみることにしました。」

「要するに、単なる好奇心で入れてみたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。入れてみると、けっこう、ラーメンに合うのです。」

「煮干しがラーメンに合うのですか」と町会長。

「北海道産の煮干しはラーメンに合いませんが、いりこは合うのです。」

「いりこは小さくて柔らかいので、食感がラーメンに合うということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「ところで、いりこをどんぶりに入れるところまで伺いましたが、その後どうするのですか」と町会長。

2021/7/20

<それじゃあどうする6>
筆者は自分で歯の治療をしようと思ったことはない。歯医者さんのところにあるような設備もないし、自分の口の中を見ながら治療することができそうにもないからだ。

しかし、左上の奥歯は院長も治療の仕方が分からないようだ。前々回、治療に行った時、院長は先が回転している歯を削る器具の先を、筆者の左上の奥歯の根本の小さな穴にちょこっと当て、『ここはよく磨いて虫歯にしないようにした方がいい』と言った。

その歯は40年以上も前に他の歯医者さんで治療してもらった歯だった。根本に小さな穴が空いていたのだが、院長が削る器具をちょこっと当ててから、食事をする時に食べ物が詰まるようになった。『なぜ、院長はあんなことをしたんだ』と繰り返し考えた。多分、難しいところの治療を終え、ホッとして気を抜いた時に、S的傾向がうっかり出てしまったに違いない。

院長は筆者が治療技術を高く買っているのを知っているし、筆者は商人系の歯科医は金を出せば必ずそれなりの治療をするのを知っているので、保険治療はやらない。だから、予約をすると、筆者の後を開けておいて、1回の治療で終わるように2時間でも3時間でも治療をしてくれる。話が合うので親しくもなっている。治療室で肥田式もやって見せてもいる。その辺のところを考え合わせると、気を抜いた時、無意識にS的傾向が出てしまったとしか考えられない。<続く>

2024/7/3