「高度成長期の頃は、20代でも車を持っている人が多く、若い女の子の中には、もてない男を足代わりに使う人がいました。男の方も、自分の車に乗ってくれる若い女の子がいるのはうれしかったらしく、足代わりに使われて喜んでいたのだと思います。そのタイプのもてない男が『アッシー』と呼ばれていました。」
「僕が猫に飯をあげるので、メッシーということになるのですね」と町会長。
「すいません。」
「猫も、もてない男を足代わりに使っていた女と同じように、自分の魅力に参っている飼い主を召使のように使っていると思っているのですか。」と町会長。
「おっしゃる通りです。雄猫でも、自分に餌をくれる人は、自分の魅力に参っていると思っています。雌猫のように毛づくろいは忘れません。」
「自分の魅力に参っている飼い主に気づかいをする必要はないので、外で会っても、メッシーの僕には挨拶をしないということなのですね」と町会長。
「おっしゃる通りです。でも、好みの女の子に対しては態度が全く違います。黄色い猫は、若い女の子が好きなので、小学生が帰ってくる頃になると門の前の小道に出かけて行って待っていました。女の子も猫好きみたいで、頭をなでたりするのですが、そのうち仰向けになってお腹をなでさせたりするのです。雌猫がいないので、人間の女の子がガールフレンド代わりみたいでした。」
「猫は好みの女の子には、そこまでするんですね」と町会長。
「そうなんですよ。猫は人を見ます。話は変わりますが、長老は、僕がいるときに、玄関の戸を手で開けて入る素振りをすることがありました。尻尾を引っ張って入れないようにしてもらいたいらしいんです。最初、こいつはM猫なのかと思ったのですが、よく考えると、尻尾を引っ張ると経絡治療になるんですね。」
「尻尾を引っ張ると経絡治療になるんですか」と町会長。
「ウンチが陰なので、尻尾の付け根周辺が固くなってしまうのです。引っ張ってやると、体が緩んで楽になるみたいです。」
「うちの猫も尻尾を引っ張ってやれば喜ぶのでしょうか」と町会長。
「若い猫については分かりませんが、年を取っていれば喜ぶと思います。長老も2,3年経つと体力がなくなって来たみたいで、黄色い猫が長老と一緒に根っこの上に座るようになりました。しばらくすると、長老を押し出そうとするようになり、遂には猫パンチを食らわせるようになりました。」
「長老の体力がなくなったので、権力闘争が始まったのですね」と町会長。
「おっしゃる通りです。あんなに仲良くしていたのに、長老の体力がなくなると手のひらを反すようなことをするのだ、猫の社会は厳しいんだと思いました。長老がちょっと気の毒になったので、腎の治療をしました。」
「猫にも腎の治療ができるのですか」と町会長。
「犬と猫しか治療したことがありませんが、哺乳類には経絡治療が可能だと思います。」
「人間にするのと同じなのですか」と町会長。
「猫の治療の方が簡単です。猫は経絡治療ができませんから。」
「猫は手が使えないから、自分で治療することはできませんよね。しかし、自分でできないと、なぜ治療が簡単なのですか」と町会長。
2019/11/2
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