「昔、創始した治療術の一つに対角法と名付けたものがあります。経絡的に連動して縮んだところに、同時に指を当てると、指を当てたところが緩みます。肥田春充は、指が緩まなかったために73歳で亡くなっていますが、対角法を知っていたら、もっと長生きしています。」

「対角法で指を緩めるには、どうしたらいいのでしょうか」と町会長。

「左右の手の指先を合わせるだけです。左手の親指は右手の親指と、左手の人差し指は右手の人差し指と、左手の中指は右手の中指と、左手の薬指は右手の薬指と、左手の小指は右手の小指と合わせます。30秒くらいすると指先がフッと緩んで、手が離れます。これで治療は終わりです。毎日やれば、寿命が若干延びると思います。」

「肥田春充は対角法で指を緩める方法を知っていれば、もっと長生きできたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。写真からの推定では、80歳くらいまで寿命が延びたと思います。しかし、実際には、潜在意識が延びた分を短くさせるために、こだわりを上手についてささやきます。意識は潜在意識のささやきを自分の考えだと思って実行するので、伸びた分が短くなってしまいます。アインシュタインのような天才でも、潜在意識は意識より頭がいいので、意識は潜在意識に誘導されて年を取って亡くなってしまいます。」

「僕が教え子の結婚式に出席することにこだわって、灼熱の国に行き、すっかり身体を壊してしまったのは、潜在意識にこだわりを突かれたからなのでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。熱いところに行けば肝臓の機能がさらに低下するのは自明の理ですから、長生きしようと本当に思っているのであれば、行くわけがありません。」

「長生きしようとは思っていたのですが、今まで教え子の結婚式に呼ばれると必ず出席していたので、その子の結婚式だけ出席しないわけにはいかないと思い、体調が悪化するのは承知で行ってしまいました」と町会長。

「それが人間なんですよ。人間はそういう風に進化しているので、こだわりを突かれると、問題が生じるのが分かっていてもやってしまうのです。陽好きの父母も全く同じでした。こだわりを突かれて、陰の本を持っていたり、陰の茶道具を持っていたために、老化して亡くなっています。息子も同じです。僕が若返っているので、本来なら連動して若返るはずなのですが、実際はわずかながら年を取っています。変な咳をしたりすると気がついて注意するのですが、どうにもなりません。長生きしたいという気持ちは強く、若返ろうとする努力もしているのですが、気がつくと潜在意識にやられてしまっているのです。」

「息子さんでも、どうにもならないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。親子でも、どうにもなりません。人間は種として生き残っているのであって、個として生き残っているのではありません。進化の流れに反するようなことは起こらないのです。それで、治療を止めてしまったのです。治療した患者は、自分で体を壊しておきながら、再び治療に来ます。これでは、どうにもなりません。」

「渡辺さんは、こだわりを突かれても、問題を起こさないのですか」と町会長。

2019/11/4
※最近の研究で、督脈は親子の経絡の連動性の影響を受けないので、親が若返っても子供は若返らないことが判明しています。ですから、親子の経絡の連動性で年は取らないということはあっても、若返るということはありません