「2001年に米国では炭疽菌事件が起きているので、生物兵器として利用されそうな細菌やウイルスは全て研究しているはずです。」

「炭疽菌事件というとアメリカ全土を震撼させたバイオテロのことですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアには、『2001年9月18日と10月9日の2度にわたり、アメリカ合衆国の大手テレビ局や出版社、上院議員に対し、炭疽菌が封入された容器の入った封筒が送りつけられたバイオテロ事件である。この炭疽菌の感染により、5名が肺炭疽を発症し死亡、17名が負傷した。』と記載されています。」

「この炭疽菌事件が原因で、CDCはスペイン風邪のウイルスまで作ったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。国立感染症研究所の『バイオテロへの対応』には『米国は1998年以降30億、160億、200億円とCDCの“バイオテロ対応部門”の予算とヒト(2人→30人→50人→?)を増やし対応してきた。その大部分の資料は各州衛生部のインフラ充実に用いられた。昨年のテロ以後米国政府は特別予算を計上し(3800億円)、そのうち2900億円はCDCへまわし、さらなるインフラ整備(CDCと州)と検出技術開発、ワクチン薬剤の備蓄等に用いられている。ちなみにCDCは駐車場をつぶし11階建てのP3とP4のみの新しい実験室の建設を開始した。これには天然痘の動物実験も想定されている。さらにNIAID(NIH)においてはワクチンと薬剤開発と病原体の遺伝子解析に900億円が配布された。この研究チームには米国籍を持たない人は一切参加できないという。炭疽の次は“天然痘”であるということで、欧米の国々は厳戒態勢に入っている』と書かれています。」

「なるほど。米国では、日本では考えられないような巨額の予算を取り、ワクチンを製造して、備蓄するところまでやっているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部で発生したSARS-CoVは、致死率が高かったため、バイオテロを恐れた各国が競って研究しています。国立感染症研究所の『SARS―CoVに関する最新の研究と今後の展望』には『2004年4月におけるPubMedに載ったSARS―CoVに関する論文数は1日付けで既に374報もあった・・・この1年でいかに多くの研究者がSARS―CoVに関わってきたかを端的に表している数字といえよう』と書かれています。」

「374の論文数で多いのですか」と町会長。

「PubMedに載ったSARS―CoVに関する論文数が374ということは、実際に研究している人の数はどのくらいいるか分からないくらい多いということだと思います。」

「なるほど。2004年頃になるとSARS-CoVの研究者が急激に増えていたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。また、この論文には『中国国家食品薬品監督管理局とカナダのグループがSARS―CoVの不活化ワクチンの臨床試験を準備・開始しているということである。特に中国では30人のボランティアを募集して臨床試験を行なうと発表している』と書かれています。」

「なるほど。そのとき増加した研究者の一部がSARSr-CoVをベースにして、理論的に感染性や致死性が高いと推定されるウイルスを作り、猿を使って、実際の症状を研究していたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。当時、既にネコ伝染性腹膜炎ウイルスやニワトリ伝染性気管支炎ウイルスなどのコロナウイルスの研究がされていて、『ネコ伝染性腹膜炎ウイルスのようにS蛋白質が抗体産生を誘導する一方で、S蛋白質と抗体が複合体を形成してマクロファージ上のFc受容体に結合することにより,感染を増強するという現象がおこってしまう』と言うようなところまで研究は進んでいたようです。」

「当時、既にSARSr-CoVの遺伝子組み換えをして感染性を増強することができる可能性があるというような知識は既にあったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアには、『1970年代初頭までに、DNAを特定の位置で切断する制限酵素、DNA断片をつなぎ合わせるDNAリガーゼ、DNAを細胞に導入する形質転換の技術が開発され、これらが組換えDNA技術の基礎となった。さらに1980年代にはポリメラーゼ連鎖反応によって目的とする遺伝子の複製が容易に行えるようになり、遺伝子工学はますます利用範囲を広げた』と書かれています。」

「それでは、敵対する国が作るだろうと推定されるウイルスを、既存の遺伝子工学の技術を使って作って実験していたとしか考えられませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「実際に、ウイルスを作らなければ、どういう症状を起こすか分からないし、ウイルスを作ったとしても、猿に感染させる実験をしなければ、兵器として使えるかどうか確認できないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/7/6

<筆者の一言>
土曜日の夕方、梅澤さんから電話があった。『今日の試合はできない』という話だった。『試合は27日じゃなかったんですか』と言うと、『27日は火曜日だから、27日ということはない』と言われてしまった。横にかかっているカレンダーを見ると17日に丸が付いていた。梅澤さんが『3週目頃かな』と言ったのを覚えていたが、『27日』と思い込んでいた。カレンダーを見ると3週目の『17日』に赤丸がついているのに、頭の中で、先月予定の試合の日付と置き換わっていたのだ。

『何日というはっきりした約束はなかったと思います。お嬢さんの具合がよくないので予定が立たないと解釈していました』と言ってみた。図星だったようだが、梅澤さんは何も言わなかった。『試合はいつでもいいです。7月でも8月でも』と言うと、『7月は試合があるし、8月も終わりに試合があるので、9月ということで』という返事が返ってきた。『分かりました』と即答した。

もしかしたら、梅澤さんは僕に勝つ最後のチャンスを失ったのかも知れない。体力と動体視力が上がり続けているのだ。そして、前回、梅澤さんにショックを与えたカット系のスピードがあるサーブが入るのだ。梅澤さんの能力が著しく上がっているのは確かだが、経絡的な限界があるような気がする。

朝11時頃庭に出ると、雑草が気にかかった。体力が上がると、その場で草むしりをしてしまう。ちょっと見ただけでは雑草は1本もない状態なのだが、この日も草むしりをしてしまった。

梅雨時には珍しく、太陽が照りつけ、日陰で31度あった。しかし、暑さは気にならないので草むしりを30分ほど続けると、突然、肺が緩んだ。強烈な太陽の光を浴びて、皮膚を支配している神経系が緩んだのだ。何年も待ち望んでいた状態に、やっと到達したと思った。

<ムクドリ49>
信玄雀の知力は、どうもアホポン化した僕の知力を超えているようだ。危険を察した信玄雀が、自分の意地よりも自分が率いる雀の群れの安全性を一番に考え、他の雀が庭に行かないように即座に命令したのは驚くほかない。

以後、2日経っても、3日経っても、雀は庭に現れなかった。代わりに、ハクセキレイが庭に来るようになった。ハクセキレイは白と黒の目立つ模様の鳥なので分かりやすい。4,5メートル離れていても、ハクセキレイだと断定できるくらい分かりやすい。飛び立つ時に羽ばたくと、真っ白な羽の下の部分が現れる。

ハクセキレイは、スズメの仲間なのだが苔を荒らしたりはしない。ひたすら、餌を食べている。苔庭の中にも来るが、苔がないところにも来てひたすら餌を食べている。確認はしていないが、食べている様子から推測すると、雑草の種を食べているようだ。

去年も、雀が6月になって来なくなると、ハクセキレイが来て、ひたすら餌を食べていた。人に対する警戒心は雀より薄い。僕が庭に出ても逃げようとしない。雀のような知力は感じられないが、人を恐れないところが鳥にやさしい現代日本にマッチして、数が増えているようだ。苔を荒らさないで、雑草の種をひたすら食べているので、ハクセキレイを追い払おうとはしていない。

ハクセキレイも茶の間に接する苔庭の上に張ってあるネットは怖いようで、近づかない。しかし、雀が来なくなると、日ごとにハクセキレイの数が増えていった。

雀が庭にいるときは、ハクセキレイはほとんど来ない。雀の方がハクセキレイより一回り大きくて、知力も上なので、追い払われてしまうようだ。

今年のハクセキレイは、去年のハクセキレイより警戒心が強い。雀が家の周りにいるのに、庭に降りてこないことがハクセキレイに影響しているような気がした。そして、茶の間の近くにネットが張ってあることや茶室に近いところから鷲の声が流れてきていることが、ハクセキレイが警戒心を強くしている原因だとも推定している。実際、鷲の声がする茶室の方には近づかないで、キンモクセイより東側で餌を食べている。鈍感と思っていたハクセキレイも、ここまで状況が厳しくなると、過敏になるようだ。<続く>

2023/6/19