「外国人の言語学者で日本語の構造を研究できるような人はいないとすると、川上さんの言語構造に関する知識は、英語の言語構造に関するものだったということですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。しかも、英語の言語構造に関する研究の領域というのは、普通の文法学者が立ち入らない、極めて専門的な領域です。」
「なるほど。川上さんは、渡辺さんが言うように、英語に関する極めて専門的な知識を持っていたということですね」と町会長。
「おっしゃる通りです。」
「それも、何という名前の学者の仮説か、しっかり、記憶しているのです。」
「3年間、毎週、外国人の言語学者の名前を言ったのですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。僕も、この仮説であれば、思いつく学者はいないだろうと思って、毎週、新しい仮説を川上さんにぶつけたのですが、議論の最後に川上さんは、『それは、xxxさんの仮説と同じですね』と外国人の言語学者の名前を、判で押したように言うのです。」
「川上さんは、普通の文法学者が読まないような、極めて専門的な論文を大量に読んで、記憶していたということですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。それだけではありません。あるとき、『文法書はこれだけそろえてあるのですが』と本棚の文法書を見せながら、『いくら調べても、どうしても分からないことが出てくるのです』と言ったことがあるのです。」
「そうしたら、何と答えたのですか」と町会長。
「ロングマンの『A Comprehensive Grammar of the English Language』という文法書を教えてくれたのです。」
「その文法書が問題なのですか」と町会長。
「そのとき、川上さんは、『ロングマンの辞書は、研究社の辞書を参考にして作られた』と言ったのです。」
「本当ですか」と町会長。
「『こいつは、なぜ、そんなことを知っているのだ』と思った記憶があるのですが、話の流れで聞きそびれてしまったのです。」
「ロングマンの辞書は、本当に研究社の辞書を参考に作られたのですか」と町会長。
「僕の研究でも、そう言われれば、確かにそうだとしか考えようがないのです。」
「英文法の研究は、イギリスが1番進んでいるのではありませんか」と町会長。
「1番進んでいるのは、日本です。」
「なぜ、日本が1番進んでいるのですか」と町会長。
2020/10/28
<イノシシ後記18>
にせの罠は僕が設置したままの状態で、イノシシが触れた様子はなかった。『罠は近づかなければ問題はない』というのがイノシシの基本姿勢のようだ。
孟宗竹の下の空間をくぐらないとすれば、飛び越えるしかないということになる。そういう観点に立って、更に現場検証を続けると、裏庭と孟宗竹の間の1メートル半くらいの幅の地面に砂利が敷いてなかった。そして、1メートル半くらい離れたところから卓球場の東側と同じように砂利が敷いてあった。それで、『孟宗竹を飛び越えたとしても、砂利が敷いてないところに着地すれば、蹄に小石を挟むことはない』とイノシシが考えた可能性があると思った。
実は、イノシシが最初に苔庭を荒らした時、飛び越えた可能性もあると考えて、アマゾンで0.9ミリの白いビニールで被覆した針金を買っておいた。白いビニールで被覆した針金にしたのは、針金なら設置が簡単で、白色ならイノシシが来ると推定される夜明け前の時間帯でも設置してあることが見えると思ったからだ。
設置には、捨てるのに困っていた鉄パイプを使った。2メートルほどの鉄パイプが2本あったので、1本は、卓球場の西側の壁に、40センチぐらいの高さに設置した。もう1本は藪側に設置することにした。<続>
2023/10/11
