「『外国為替においては内国為替の場合の中央銀行に該当するような組織がないため、銀行は海外の銀行との間で口座(コルレス口座)を開設しあい、その口座を用いて資金を振り替えることによって決済を行う』ということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。長野賞受賞論文には、『クロスボーダー取引に係る決済の場合、国内取引のように中央銀行のような機能を果たす機関は存在しない。このため銀行は各国の有力銀行と「コルレス契約(Correspondent Agreement)」を締結し、コルレス口座を通じて銀行間の資金決済が行われる』と説明があります。」

「『クロスボーダー取引』と言いますと?」と町会長。

「国境を越えてする取引のことです。日本人的な感覚では、海外との取引になりますね。」

「なるほど。長野賞受賞論文よると、『国際間の資金決済は通貨母国の金融市場で行われ、米ドル取引は米国系金融機関が保有するコルレス口座を通じて行われる。』ということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、中国がドルの決済をするためには、米国の金融機関にコルレス口座が必要なのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアの『コルレスバンク』には、さらに、『すべての銀行がすべての外国からの送金の受け入れが可能なシステムに接続しているとは限らない。そのため、たとえば送金取引において、送金先銀行が自行のコルレス先でない場合は、中継となるコルレス銀行に送金指示を行った上で、最終目的地となる銀行と口座番号の備考を添えて送金することになる』という説明があります。」

「なるほど。コルレスバンクは、国際間の資金決済に使われるだけでなく、国際間の資金決済のための中継点として使われるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。A国のAA銀行からC国のCC銀行に送金する場合、AA銀行とCC銀行の間にコルレス契約がないときには、C国のAA銀行とコルレス契約があるBB銀行を経由して、CC銀行に送金することになります。」

「なるほど。AA銀行とC国の銀行の間にコルレス契約がないときには、AA銀行とコルレス契約がある他の国のTT銀行を経由して、C国のCC銀行に送金するということになるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。経由する銀行の数が増えるごとに、送金手数料が余分にかかります。」

「なるほど。それで、ウィキペディアの『コルレスバンク』に『外国に送金するにあたり、その通貨の中継地点となる銀行である』という説明があるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアには、さらに、『米ドルの主なコルレス銀行は、シティバンク、JPモルガン・チェースなどが挙げられる』と書いてあります。」

「なるほど。長野賞受賞論文は、『コルレスバンク』について、明確な定義をしていますね。おかげで、『コルレス口座』が理解できたような気がします」と町会長。

「確かに、長野賞受賞論文は、日本人が書いたとは思えないくらい、論理的に書かれています。」

2020/9/17

<筆者の一言>
パナソニックは、自動生産については長年の研究があり、九州の佐賀工場に集約されているようだ。しかし、この工場で電子レンジを自動生産するのは難しいだろう。

最近、パナソニックの電子レンジが壊れてしまったので、新しい電子レンジに買い替えた。新しい電子レンジは、驚いたことにターンテーブルがなかった。『可動部分がないということは、パナソニックが路線を変更して、壊れにくいものを作って売ろうとしている可能性がある』と思った。

壊れた電子レンジを廃棄するために、ネジを外して分解し、大きすぎる部品は京セラの電気ノコギリで切断した。京セラの電気ノコギリは、素材に合わないブレードを使うと、本体が軽いので激しい振動を起こしてしまう。しかし、素材に合ったブレードを付けると、金属板が簡単に切断できるすぐれものだ。

電子レンジを分解して、中の配線を見た。そして『この構造では、自動生産は無理だ』と思った。壊れた電子レンジには、壊れるように作ろうとした努力は感じられたが、自動生産しようとする意志のかけらも見られなかった。<続く>

※パナソニック製品がすべて壊れるように設計されているわけではない。例えば、ナショナル時代の冷蔵庫が3台あるが、30年経っても何の問題もない。2台残っているエアコンも、30年経っても何の問題も起きていない。リモコンにも問題が起きていない。冷蔵庫やエアコンにはガスが使われているので、ガス漏れがしないようにしっかり作ってあるのだろう。

10年ほど前、1級建築士の勧めで、ダイキンのエアコンを3台買った。本体は壊れていないが、リモコンが1台壊れてしまった。驚いたことに、ダイキンのエアコンはリモコンの生産が終了してしまうと、新しい機種のリモコンでは使えないように設計してある。しかし、代用リモコンがアマゾンで売っているので心配はいらない。<続く>

<ムクドリ99>
鴉が、防風林の北端にあるけやきの大木の上部に放射状に生える枝の根元から飛び立つと、隣の樫の木の中でイエスズメが数羽ザワザワという感じで鳴いた。

イエスズメは、群れが栗林にいると推定される時に鳴くのは、普通は1羽だ。なぜだかは分からない。例えば、朝4時代から5時代にかけて、イエスズメは防風林の中で鳴くが、耳を澄まして聞くと鳴いているのは1羽だ。

鳴いているイエスズメが鳴き疲れると別のイエスズメが鳴く。鳴き声がする位置も少し違うし、音色や鳴き方まで違うので、交代したのが分かる。イエスズメを知らない鳥類の研究者が聞けば、別の鳥が鳴いていると判断するかも知れないほど、鳴き方が違う時がある。

特に8月になってから、感情を込めて色々な鳴き方をするイエスズメが増えてきている。1匹、とてつもない大きな声で『ピーヨ ピーヨ』と鳴くのがいる。

イエスズメに聞いて確かめてはいないが、仲間のイエスズメから『すごい』とか『素敵』などという評価があるに違いない。

隣の樫の木の中でイエスズメが数羽ザワザワという感じで鳴いたのは、けやきの大木の枝の付け根で長時間しつこく鳴いていた鴉が、僕の出現で飛び去ったのが衝撃的だったのだろう。鴉は、イエスズメを捕まえられない悔しさで、長いこと鳴き続けていたようだが、イエスズメも、いつまで鴉は鳴き続けるのだと思っていたに違いない。

イエスズメは、飛んでいる時に鳴くので、1羽が防風林で鳴いている時に、別の1羽が飛び出せば、2羽同時に鳴いていることがある。群れて飛んでいるときには、複数のイエスズメが同時に鳴いている。8月も終わりに近づくと、イエスズメは防風林のこずえの中を自在に飛べるようになり、1羽が大きな声で鳴いている時、こずえを飛び回るイエスズメの小さな鳴き声があちこちで聞こえるようになった。しかし、こずえの中で集団でざわついたのは初めて聞いた。

僕は、イエスズメが鳴くのはコミュニケーションのためではなく、自分の位置情報を他のイエスズメに伝えるためだと推定している。例えば、群れて飛んでいる時、自分より後方のイエスズメは見えないが、鳴き声がすれば後ろにいることが分かる。<続く>

2023/8/31