「『空』については、明確な持論があったのですが、初対面の人と『空』について議論をしてもと思い、中神先生のお話をひたすら伺うことにしました。」

「『空』といいますと?」と町会長。

「『色即是空』の『空』ですよ。」

「『色即是空』といいますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『色即是空』には、『色即是空とは、「般若心経」等にある言葉で、仏教の根本教理といわれる。この世のすべてのものは恒常な実体はなく縁起によって存在する、という仏教の基本的な教義』と言う説明があります。」

「『縁起』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『縁起』には、『縁起とは、他との関係が縁となって生起するということ。全ての現象は、原因や条件が相互に関係しあって成立しているものであって独立自存のものではなく、条件や原因がなくなれば結果も自ずからなくなるということを指す』という説明があります。」

「分かったような、分からないような説明ですね」と町会長。

「キリスト教文化圏に属する人は、『宇宙は神が言葉を発することによって作ったものだから、言葉が正しければ、宇宙の真理を自然に語ることができる』という考え方を持っています。」

「なるほど。それで科学は明確に定義された言葉で表されるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、日本語の助詞や助動詞の役割を考えれば、日本人は、元来、客観的な真理があるとは思っていませんね。」

「日本人は、客観的な真理があるとは思っていないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。日本語は、話者が伝えようとする客観的な部分と、話者が客観的な部分をどう捉えているかと言う主観的な部分から成り立っています。要するに、日本人は、人は主観を通して物を見たり、判断したりしていると考えているのです。」

「日本語は、そんなに複雑なのですか」と町会長。

「そうなんですよ。アメリカの大学を卒業した若いアメリカ人が10年も日本にいれば、日本語の会話が不自由なくできるようになりますが、日本語の対話形式で書かれた文章は理解できるようにならないのです。」

「それは不思議ですね。対話形式でなければ、理解できるのですか」と町会長。

「科学論文のようなものは理解できるようになると思います。」

「科学論文が理解できて、日常会話に不自由がなくても、会話しているのを録音して、書き下したものは理解できないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。日常会話の場合、その話がされる具体的な状況があるので、話される単語が理解できれば、相手の言うことが100パーセント近く理解できるアメリカ人はいると思います。」

「それは不思議ですね」と町会長。

「昔、吉田さんという50代の生徒がいました。陸軍中野学校を出た人で、ロシア語を竹刀で殴られながら勉強したことはあるが、英語の勉強をしたことはないと言っていました。」

「陸軍中野学校というと、戦前にあったスパイ養成の学校のことですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕は、入学希望者全員の基礎能力を一対一で確認するので、吉田さんが英語が聞こえないことが分かりました。それで、年齢から考えて、うちで英会話をやっても、英語は話せるようにならないと言ったのですが、それでもかまわないからということで、入学することになったのです。」

「50代で、英会話を始めるのは、大変でしょうね」と町会長。

「僕は不可能だと思いました。ところが1年もすると、英語をペラペラ話すようになっていたのです。アメリカ人の先生も、『少なくとも、私の言っていることの90パーセントは理解している』と言っていました。」

「すごい人がいるものですね」と町会長。

「あまりに不思議なので、もう一度ヒアリングのテストをさせてもらったのです。そうしたら、やはり、聞こえていないのです。吉田さんは、アメリカ人の先生の言うことが3割くらい聞こえれば、何を言おうとしているのか100パーセント分かると言っていました。」

「なるほど。実際の会話というのはそういうものなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。頭がよければ、アメリカ人の先生が、どういう状況に置かれていて、何をどのように考えているかということが分析できているので、3割聞こえれば、100パーセント理解できるということのようです。」

2020/9/10

<筆者の一言>
日本の天才系の数は、『世に知られざる秘密』の読者の増加の仕方から、3,000万人ぐらいではないかと推定している。この天才系の中の自動車製造に関わる人達が日々技術革新を担ってきたのだ。

しかし、米国車の技術的革新は、日本と比べると時たまにしか行われない。ユダヤ系は数も少ないし、商人系にとっては割に合わない仕事だからだ。

米国の技術的革新は、日本の技術革新に比べると根本的な技術革新であることが多いのだが、日本の天才系は、米国の根本的な技術革新をベースにして、さらなる技術革新を加えていくという特徴がある。その結果、米国は日本のしつこい技術革新に対抗しなければならないという状況に陥ってしまうのだ。<続く>

<ムクドリ95>
ハクセキレイは、頭が悪いから鴉に簡単に食べられてしまうはずだ。ハクセキレイが増えているのは、繁殖力がすごいということだ。鴉には人間と違って、1度に1羽しか捕まえることができないという限界がある。だから、ハクセキレイの増加スピードが大きければ、増え続けるということになる。

ウィキペディアの『ハクセキレイ』には、『寒冷地では年1回、暖地では年2回繁殖する。雄は、春から夏にかけて、地上で翼と尾羽を広げて求愛ダンスを行う。地上の窪みや人家の隙間などに、枯れ草や植物の根を使って皿状の巣を作り、日本では5-7月に1腹4-5個の卵を産む』という記載がある。

そして、鴉が絶対に近づかないような人間の近くで餌を食べることができることが、増え続けているもう一つの理由だ。ハクセキレイは、イエスズメと違って、2,3メートルの距離にいても逃げないことがある。

そして、もう一つ増えている理由があるとすれば、ハクセキレイは極めて食欲が旺盛で、苔の中にいても、苔の外にいても、常に何か食べている。イエスズメがするような苔遊びとか情報収集とかはしない。この食欲が、暖地で年2回繁殖するのを可能にしているのだろう。<続く>

2023/8/24