「うつ病の人のように交感神経が亢進すると神経が過敏になるため、普通は感じないような痛みや不快感を感じるようになります。胸痛や胃痛を訴える人が多いのですが、検査をしても異常が見られない場合がほとんどです。」

「猪も忌避剤の臭いを嗅ぐと、胸痛や胃痛を感じたりするのでしょうか」と町会長。

「イノシシに聞いたことがないので、単なる推定にすぎませんが、強い鬱だから胸痛や胃痛を感じていても不思議はありません。」

「それでも猪は、ハイゴケを荒らしに来るのですね」と町会長。

「鬱の人の特徴は、少しでも嫌なことはできないが、好きなことは、困難が伴ってもできるという特徴があります。この特徴がなければ、鬱の人も、鬱の猪も淘汰されていたと思います。」

「猪は、ハイゴケを荒らすのが好きなのですか」と町会長。

「猪がハイゴケを荒らすのが好きかどうかについては分かりませんが、ウィキペディアによると江戸時代に猪飢饉があって、多くの農民が餓死しています。」

「猪が作物を荒したため飢饉が起きて、農民が餓死したのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。先ほど話した焼き畑でイノシシが増殖したのが原因と言われています。」

「焼き畑をしたところには、作物を植えるので、それを猪が食べて増えるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。それだけではなく、焼き畑したところは、数年すると土地がやせてくるので、放棄することになりますが、イモ類などイノシシの餌になるものが野生化して生えるので、放棄した畑がイノシシの大量発生を招いたと言われています。」

「渡辺さんが言われるように、先史時代から焼き畑が行われてきたとすると、人間が猪を大量発生させてきたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。先史時代から人間は作物を守るためにイノシシと戦ってきたと推定しています。そして、人間のスキを突いて、作物やミミズを食べたイノシシが増殖して、子孫を残してきたと推定しています。」

「なるほど。それで、猪は人間のスキを突いて、作物やミミズを食べることが本能的に好きなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。好きなことは、困難があっても、どこまでもやろうとするのが鬱の特徴です。」

「それで、猪は砂利があっても、超音波害獣撃退器があっても、忌避剤があっても、ハイゴケを荒そうとしたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ストレスを起こすものに対して慣れるのに3日ほどかかっています。この3日の間に、『こんなに心臓をドキドキさせる臭いでも、実際には何の害もないんだ』ということを自分に言い聞かせるのだと思います。イノシシの知性が害がないことを納得し、心臓がドキドキしなくなれば、ハイゴケまでやってくるのだと推定しています。」

「なるほど。そして、ストレスの数が増えると、イノシシの知性が対応できなくなるということですか」と町会長。

2020/1/9