「SARS-CoV-2の場合、感染してから抗体ができるまでに、何日ぐらいかかるのですか」と町会長。

「インフルエンザウイルスの場合、ワクチンを接種してから1~2週間で抗体ができると言われています。SARS-CoV-2の場合、米国は、過去14日以内に中国に滞在した外国人の入国を禁止していますから、感染して2週間たてば、十分な抗体ができてウイルスの量が感染しないレベルにまで低下すると考えていることになります。」

「SARS-CoV-2に感染して、一度陰性になった人が、しばらくして陽性になることがあるようですが」と町会長。

「2月26日の日経メディカルに『SARS-CoV-2は糞口感染する可能性あり』という記事があります。」

「糞口感染と言いますと?」町会長。

「病原体を含む糞が手指を介して口へ入り感染するのを糞口感染と言います。SARS-CoV-2の場合は、トイレのドアノブに触った手で、鼻に触っても感染する可能性があるので、正確な表現とは言えませんが、他に適当な用語が見つからなかったのだと思います。」

「なるほど。要するに、腸内で増殖している可能性があるということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。日経メディカルには『中国科学院のWei Zhang氏らは、新型コロナウイルス感染者の消化管にもウイルスが存在するかどうかを明らかにする必要があると考え、武漢市内の1病院で患者から採取した標本を検査したところ、ウイルスは患者の肛門スワブと全血標本にも存在しており、糞口経路で感染が広がる可能性があると報告した』と書いてあります。」

「スワブと言いますと?」と町会長。

「綿棒状の検体採取キットのことです。」

「全血標本と言いますと?」と町会長。

「血球を分離していない、すべての成分を含んだ血液の検体のことです。」

「なるほど。そうすると。腸管にも血液中にもウイルスが存在しているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。また、日経メディカルには『著者らは、現在診断に用いられている口腔スワブベースのPCRによるウイルスRNA検出法は完全ではないことを示した。口腔スワブが陰性になった後に、肛門スワブまたは全血がウイルス陽性になる患者もいた。また、全血がウイルス陽性だった患者は誰1人として、口腔スワブと肛門スワブが陽性にならなかった。こうした患者は、現行のサーベイランスでは陽性と判定されない。一方で血清中のウイルスに対する抗体はすべての患者に認められた』と書かれています。」

「なるほど。SARS-CoV-2に感染して、一度陰性になった人が、しばらくして陽性になるのは、検査法に問題があるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『全血がウイルス陽性だった患者は誰1人として、口腔スワブと肛門スワブが陽性にならなかった』ということは、口腔や腸管にウイルスがいないのに、血液中にはウイルスがいるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。一時的に血中にウイルスが出現する疾患はかなりあるようですが、SARSーCovも全血、血漿、血清などの血液検体では、RT-PCR法、LAMP法などで、発症後比較的早い時期から陽性になり、発症21日目以降では陽性率が低下するとされています。」

「血液陽性であれば、一度陰性になっても陽性になる可能性があるのでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。SARSーCovの場合は、血液や体液に接触して感染する可能性があると考えられています。」

「なるほど。それでは、アメリカの過去14日以内に中国に滞在した外国人の入国を禁止というのは十分な対策ではないということになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。この論文は、Emerging Microbes & Infections誌電子版に2020年2月17日に掲載されていますが、糞口経路で感染が広がることが隠し切れないとみて、このタイミングで論文を発表させたのだと思います。」

「1病院が対象の論文であれば、1月に発表できる内容ですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/3/1