「ところで、裏庭の砂利の向こう側は栗とか梅ノ木が生えていますが、荒らされていませんね」と町会長。

「除草剤を時々撒いているからです。」

「猪は除草剤が嫌いなのですか」と町会長。

「イノシシが除草剤が嫌いかどうかについては分かりません。」

「でも荒らされていませんが」と町会長。

「グリフォサートを主成分とした除草剤を使っていますが、臭いはしませんね。」

「それでは、除草剤の臭いが嫌いだから荒らさないというわけではないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。除草剤に入っている展着剤のためにミミズがいないのだと推定しています。」

「展着剤でミミズがいなくなるのですか」と町会長。

「展着剤として使われるのは、普通、界面活性剤です。」

「界面活性剤というと、確か、洗剤に入っているやつですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。界面活性剤を撒くと、ミミズの皮膚が破壊され、死んでしまうのです。」

「それでは、洗剤を撒いてもミミズは死んでしまうのですか」と町会長。

「洗剤を溶かした水にミミズを入れると死んでしまうという実験がウエブで紹介されています。ミミズの皮膚が溶けて、水が赤くなると書いてありました。」

「それは知りませんでしたね。それでは、畑に除草剤を撒けば、ミミズがいなくなり、猪に荒らされにくくなるのですね」と町会長。

「確かに、おっしゃる通りなのですが、除草剤を撒いてミミズがいなくなると収穫量が減ると思います。」

「ミミズが畑にいると収穫量が増えるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ミミズが作る孔道で土壌内の空気や水の流通が良くなります。また、ミミズが泥を食べて糞として出すと、酸性の土壌がアルカリ化されます。」

「ミミズが土壌改良をするのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「田んぼが猪にあらされるのもミミズがいるからなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。実は、イノシシが荒らす作物のトップは、水稲で、2番目がイモ類です。」

「イモは猪が食べるでしょうが、水稲は食べるところがありませんよね」と町会長。

「実は、ドングリを食べるのと同じで、稲の先に付いているモミを食べます。」

「田んぼにいるミミズを食べるために、猪が水田を荒すと思ったのですが、そうではないのですね」と町会長。

「田んぼにはイトミミズというのがいて、稲の根に卵を産み付けることが知られています。」

「やはり、ミミズがいるのですね。稲に除草剤を撒くと稲が枯れてしまうので、除草剤が使えないのですか」と町会長。

「苗を植えた後に使う一発剤というのがありますが、ミミズには効果がないのだと思います。ミミズの駆除は考えられていないようです。」

「稲が猪に荒らされるのは、ミミズがいるためだということが分かっていないのが、問題なのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。猪の食性に関する研究はありますが、胃の内容物を調べただけでは、ミミズ対策の重要性が分からないのだと思います。ミミズの防除剤としてはPCP剤が最も殺虫効果が優れているという記載が九州病害虫研究会報にありましたが、猪対策に使おうとする人は少ないのだと思います。」

2020/1/23