「犬や猫などの哺乳類には経絡があるのですが、鳥類や爬虫類にはありません。3億5千万年くらい前だったと思いますが、哺乳類の祖先となる恒温性の爬虫類が現れますが、このタイプの爬虫類には経絡があったのかも知れません。」

町会長は、進化について興味があるらしく、「そうですね。3億5千万年くらい前だったと思います」と相槌を打ってきた。

「経絡は、左足をけがして可動性が悪くなり経絡的な問題が生じると、しばらくして右足にも同様の経絡的問題が生じて可動性が低下するというように、左右交互に可動性を低下させるんです。それで、初期の経絡は、怪我したときの左右のバランスを取るために生じたと推定しています。運動すれば、筋肉がついて動きもよくなりますから、その方が生き残る可能性が高かったのでしょう。」

「経絡と言うのは体の可動性を低下させるのですか」と町会長は興味を示した。

天才は陰陽は分かるが、経絡が分かる人は滅多にいない。経絡は、陰陽と違って、感覚的にとらえるのが難しいからだ。町会長が興味を示してきたので、経絡で人が死ぬ原理を説明することにした。

 「経絡には、肝・心・脾・肺・腎・胆・小・胃・大・膀・督・任・心包・三焦という14種類があります。最初の肝は肝経の略で、足の親指の内側から出て、足の内側を上がってくるのですが、足首のねん挫などで肝経に支配される皮膚や筋肉、骨の可動性が低下すると連動して肝臓の可動性が低下し、機能低下するようになっています。同時に肝機能の低下に伴って全身の筋肉がわずかに固くなり、体の可動性がわずかに低下します。

 心は心臓の可動性を低下させる心経、脾は脾臓の機能を低下させる脾経、肺は肺の機能を低下させる肺経、腎は腎臓の機能を低下させる腎経の意味です。

 そして肝→心→脾→肺→腎→肝→心の順番で一つの経絡の可動性が低下すると、次の経絡の可動性が低下します。例えば、足のねん挫で肝経の可動性が低下すると、次に心経の可動性が低下し、次に脾経の可動性が悪化するというように、次々と連鎖して経絡の可動性が低下し、一回りして、再び肝経の可動性が低下します。

 この経絡の連鎖は生まれたとき始まっていて止まることはありません。怪我をしなくても、目や歯、爪、大便は陰なので周辺の組織の可動性を低下させるため、経絡の連鎖は生まれたときから始まっています。生まれたときから経絡の連鎖で内臓の機能が低下し、限界まで内臓の機能低下が進んだとき死ぬようになっているのですが、成長期には、内臓が発達して強くなるため、経絡的な内臓の機能低下には気がつかないのです。」

「その説明で、なぜ陰の物で体力が低下するのか理解できました」と町会長は感心したように言った。「陰の物を食べたり、着たりすると、経絡で内臓の機能が低下するのを加速させるんですね。陰陽が分からない人が多いので、陰陽の分かる潜在意識にそそのかされて、陰の物を食べたり、着たりして、知らないうちに命を縮めている人が多いということですね。知らずにやっているとは言え、実に恐ろしいことを人間はやっているものですね。」

2019/9/9