「奥さんはショックだったでしょうね」と町会長。

「家内よりも、僕の方がショックでしたね。結婚する前から英作文を教えていたので、頭が悪いとは思っていたのですが、これほど悪いとは思っていませんでしたからね。」

「それで、奥さんとの囲碁の対戦は、どうなったのですか」と町会長。

「『性格のいいのが一番』と思って打ち切りました。」

「奥さんの性格は、そんなに良かったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。劣等感というものが全くなかったようで、あっけらかんとした性格でした。」

「『神童』と言われて育ったのでは、劣等感というものは全くないでしょうね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「英作文を打ち切られ、囲碁を打ち切られても、あっけらかんとしていたのですね」と町会長。

「少なくとも、僕にはそう見えましたね。『こいつはアホポンだ』などということは、口にも出さないし、態度にも出さなかったので、ショックはないと思っていたのですが・・・」

「奥さんの態度が何か変わったのですか」と町会長。

「『高校では、成績が1番だった』とか、『公務員試験の1級を受けたら、1次試験には合格した』とかいう自慢話をするようになりました。」

「超能力で公務員試験の1級に合格してしまうのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕の知っている歯医者さんは、本が嫌いで、必要だと思っていても、読まないのですが、私立の大学の歯学部に入学して、立派に歯医者さんをやっています。」

「学校時代には、本を読んでいたのではありませんか」と町会長。

「それについては、確認したことがないのですが、ウェブでは動画しか見ないのです。文字が書いてあるサイトは、絶対、見ないのです。」

「必要な知識が書いてあるサイトでも読まないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「しかし、歯学部を出ていても、本を全く読まないのでは、まともな治療ができないのではありませんか」と町会長。

「実は、その歯医者さんの治療の仕方は、普通の歯医者さんの治療法とは、全く違うそうです。」

「自分で治療してもらって、違いが分かったというのではなく、だれか他の人が違うと言ったのですか」と町会長。

2021/2/8