「ウィキペディアの『Alu要素』に、『遺伝的化石記録を形成する』と書かれていますが、化石の中に『Alu要素』が記録されているという意味ですか」と町会長。

「ウィキペディアの『Alu要素』に、『1988年、イェジ・ユルカ(英語版)とテンプル・スミス(英語版)によりAlu要素がAluJ(Jurkaにちなむ)とAluS(Smithにちなむ)と呼ばれる2つの主要なサブファミリーに分けられることが発見され、いくつかのグループによって独立に別の複数のサブファミリーも発見された。その後、活動中のAlu要素を含むAluSのサブサブファミリーはAluYと名付けられた。AluJ系統は6500万年前まで遡り、ヒトゲノムの中で最も古くかつ最も活動性が低い。比較的新しいAluS系統はおよそ3000万年前のもので、まだいくつか活動中の要素を含む。AluY要素はこれら3つの中で最も新しく、ヒトゲノム中を移動する傾向が最も高い』という記載があるのですが、これは、恐竜の化石を研究した結果ではなく、ヒトゲノムの『Alu要素』を解析すると、恐竜の化石を研究したのと同じように進化の系統が分かるという意味です。」

「なるほど。ヒトゲノムの中には6500万年前のレトロウイルスの感染にさかのぼると考えられるような『Alu要素』があるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「6500万年前というと、恐竜やアンモナイトが絶滅し、新生代に入ったころですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「現在生存している霊長類の『Alu要素』を比較すれば、化石を研究するのと同じように、霊長類がどのように進化したかが分かるので、『遺伝的化石記録を形成する』という表現になるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「ゲノムにレトロトランスポゾンが挿入されたとき、ゲノムの変化に伴って、細胞に問題が起きるということはないのですか」と町会長。

「細胞に問題が起きた場合、ウィキペディアの『DNA修復』によると、DNA修復機構で修復できないと、『・老化(細胞老化)と呼ばれる、不可逆な休眠状態に陥る・アポトーシスあるいはプログラム細胞死と呼ばれる、細胞の自殺が起こる・癌化』のいずれかの運命を辿ることになります。」

「それでは、ゲノムにレトロトランスポゾンが挿入されても、細胞に問題が起きなければ、ゲノムにレトロトランスポゾンが挿入されたままになるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「細胞に問題は起きなかったが、ゲノムの変化に伴って突然変異が生じていたというようなことは起こらないでしょうね」と町会長。

「実は、突然変異が生じることもあるようです。生化学第82巻第3号の『エピジェネティクスによるレトロトランスポゾンの発現抑制機構』に、『このようなDNAが生殖細胞系列で発現し転移すると、ゲノムに変異を起こしそれが次の世代に伝達される可能性がある。このようなゲノムの変化を引き起こす転移因子は、生物の進化に大きな影響を与え、時には有効に機能することもあると推測される。例えば、胎盤形成に関わる遺伝子にはレトロウイルス由来の遺伝子が複数存在することが判っており、哺乳類が現在の姿に進化するまでの過程においては、レトロトランスポゾンの寄与は多大である。しかしながら、必須の遺伝子の領域に転移因子が挿入され変異が起これば、生物は生存できない』という記載があります。」

「突然変異が起るのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。生殖細胞に突然変異が起こるような変化がレトロトランスポゾンで引き起こされた場合、問題が大きければ、生まれてこないということになるのだと思います。」

「それでは、レトロトランスポゾンの増加によるゲノムの変化が起きても自然淘汰されなかったタイプの哺乳類が、生き残っているということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『Alu要素の挿入が100万年に100から200回の低頻度でしか発生せず』というのは、レトロトランスポゾンの増加によるゲノムの変化が起きても自然淘汰されなかったタイプの哺乳類について言っているのではないかと推察しています。」

「なるほど。」

2021/2/17