「医者には行かなかったのですか」と町会長。

「医者に行って、どうにかなるような問題ではないと考えていました。母が心臓がおかしいと医者に行き、心臓の薬を飲んでいるうちに、胃がおかしくなり、さらに心臓と胃の薬を飲み続けるうちに、肝臓が悪くなり、ついに10種類を越える薬を飲むようになり、しばらくすると体ががたがたになったのを間近で見たせいかもしれません。」

「お母さんは、どうなったのですか」と町会長。

「母は医者に行くのが問題だということに気がついたらしく、薬をを飲むのを止めてしまいました。」

「その結果どうなったのですか」と町会長。

「薬を止めて1年もすると、元の健康な体に戻ったのです。」

「なるほど。それで医者には行かなかったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。食欲がないだけですから、どう考えても医者が治せるとは思えませんでした。」

「なるほど。それで、どうしたのですか」と町会長。

「鍼が効くかもしれないと思いました。」

「鍼の治療を受けたことがあったのですか」と町会長。

「鍼の治療を受けたことはなかったし、父や母が鍼治療を受けたという話は聞いたことがなかったのですが、医者が駄目だとすると、他に方法が思いつかなかったのです。」

「それで、どうしたのですか」と町会長。

「鍼は一度もやったことがなかったので、非常に抵抗感がありました。痛いだろうということもありましたが、針が突き刺さって、体の中に入ってくるということを考えただけで、恐怖感を覚えた記憶があります。」

「それでは、鍼治療はしなかったのですね」と町会長。

「他に方法も思いつかなかったので、電話帳で近くの鍼灸院を探し、行ってみました。」

「針が突き刺さって、体の中に入ってくるということを考えただけで、恐怖感を覚えたのに、鍼灸院に出かけて行ったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。そのくらい追い詰められていたのです。」

「鍼は効果があったのですか」と町会長。

「針は即効性があり、1時間もするとお腹が空き始め、食欲が出てきました。」

「鍼は、そんなに効果があるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、3日もすると、また食欲がなくなってしまいました。」

「1度では、十分な効果が出ないのではありませんか」と町会長。

「3、4回は通ったのですが、結果は毎回同じだったので、『こんなことを繰り返していてもしょうがない』と思って、今度は指圧師のところに行ってみました。」

「指圧は、効果があったのですか」と町会長。

2021/3/3