「しかし、古代フィリピンにおける進化の最大の原因は、海面が上昇するにつれて、島の大きさが小さくなっただけでなく、人間が住むことができる島の数が減り、島の人口密度が高くなってしまったことだと思います。」

「古代人は、水がない島では生きられませんから、海面が上昇し、生活に必要な水が手に入らなくなれば、その島の住民は絶滅してしまうか、近くの島に、いかだなどを使って移動するしかありませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そのとき、島から脱出できるのは、新しい状況に対応できる陽の目の人間です。」

「なるほど。」

「その結果、生き残りを賭けた人間間の争いが激しくなり、陽の目の人間が生き残る可能性が高くなると推定しています。」

「生き残りを賭けた人間間の争いが激しくなると、突然変異で陽の目になった人の子孫が生き残る可能性が高くなるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そして、人間が住むことができる島の人口密度が上がると、インフルエンザで絶滅に近い状態になり、生き残った人々は、陽の目の人の一部だけだったのかもしれません。」

「ところで、ヴュルム氷期が終ろうとする頃に、スンダランドに人間が住んでいたということには間違いないのですか」と町会長。

「鋭いご指摘です。その頃スンダランドに人間が住んでいなければ、この仮説は成り立ちません。」

「それでは、海底に沈んだスンダランドから人間の住居跡が発見されているのですか」と町会長。

「海底は堆積物で覆われているので、人間の住居跡を発見するのは難しいと思いますが、ウィキペディアの『フィリピン』に、『フィリピンの歴史は多様な民族によって織りなされてきた。フィリピン諸島で最も古い民族は25,000~30,000年前に移住してきたネグリト族。次に新石器文化を持った原始マレー。この後が、棚田水田農耕を持った古マレー。更新世中期の遺跡として、ルソン島北部のカガヤン渓谷にあるリワン遺跡が発見されている』という記載があります。」

「更新世は、約258万年前から約1万年前までの期間でしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「更新世は氷河時代だったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアの『更新世』に、『更新世は地質時代の区分の一つで、約258万年前から約1万年前までの期間。第四紀の第一の世。かつては洪積世ともいい、そのほとんどは氷河時代であった』という説明があります。」

「それでは、氷河時代には、スンダランドは、渡辺さんの言うように、フィリピンまで続く地上の楽園で、豊かな土地を求めてくる、さまざまな種族の興亡が起こったということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアの『東南アジア』にも、『東南アジアの人類文化は、2~3万年前の後期旧石器時代から始めることができる。それは、大陸部でも島嶼部でも洞穴や岩陰で人間が生活した痕跡を得られるからである・・・大陸部では、ベトナム北部のソンヴィー文化、ホアンビン文化、バクソン文化、ダブート文化とたどることができる。ソンヴィー文化は、礫の周囲を打ち欠いた石器を主とする。旧ヴィンフー省のソンヴィー遺跡で発見され、放射性炭素年代測定では2万~1万2000年前である』という記載があります。」

「なるほど。スンダランドに人が住んでいたのは間違いありませんね」と町会長。

2021/1/22