「渡辺さんは、昔から詰碁をやっていたのですか」と町会長。

「僕の場合は、中学生のときに読んだ入門書の中に出てくる詰碁をやっただけです。」

「初級の詰碁をやっただけなのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。1冊目の入門書を読んで、囲碁は奥が深い競技だと思いました。それで、囲碁が上達するために必要なあらゆる基本的な知識が書いてある本を読むことが必要だと思い、駅前の書店で、厚さが3センチ近くある入門書を見つけて、購入しました。」

「その本に詰碁の問題が載っていたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。初級の問題が60問載っていました。」

「それを、どうやって勉強したのですか」と町会長。

「囲碁の必勝法を研究していたので、頭の中で考えて正解に辿りつかなければ、実践では使い物にならないだろうと考えました。」

「それでは、碁盤や碁石は使わずに、問題を見ただけで正解にたどり着こうとしたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。本当に簡単な問題だったので、初日は10問ほど解くことができましたが、2日目になると4問解くのがやっとでした。半ばを過ぎると2週間かけても解けない問題が出てくるにようになりました。」

「そういう場合は、どうしたのですか」と町会長。

「脳に限界を感じたのですが、必勝法の研究を諦めるという気はなかったので、最初の一手だけ見て解きました。」

「詰碁は、その60問を1回やっただけなのですか」と町会長。

「1手目を見て解いたのがだいぶあったので、もう1回やった記憶があります。」

「なぜ、中級とか上級の詰碁をやらなかったのですか」と町会長。

「2冊目の入門書を読んで理解できたのが、詰碁とヨセだけだったため、理解できない布石や定石、手筋、手割などの専門書を読むようになったからです。」

「手割と言いますと?」と町会長。

「手割というのは、石の効率を分析する方法なのですが、定石に熟知していないと理解できません。」

「素人には難しいということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「布石や定石、手筋は理解できたのですか」と町会長。

「100冊ぐらいは購入したのですが、どれも理解することができず、途中で投げ出したものが多かったように思います。」

「2段の桧山先生に『初段ぐらいですね』と言われた後、碁を打ったのは、いつですか」と町会長。

「大学を卒業して、英会話スクールを始めたのですが、永井が八王子のめじろ台と言うところに住むようになり、僕のところで英会話の勉強をするようになってからです。」

「永井さんは、英会話を勉強した後、碁を打って帰ったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。永井は大学に入学した頃5段だと言っていたので、僕も5段ぐらいになりたいと思って、近くの碁会所の先生に週3回打ってもらうことにしました。」

「碁会所が近くにあったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。英会話スクールから歩いて1、2分のところにありました。初めて伺ったときに、『初段くらいなのですが、友達が5段くらいなので1年で5段くらいになりたいのですが』と言うと、『うちでやれば強くなりますが、1年で5段は無理です』と言われてしまいました。」

「それでも、その碁会所の先生と週3回打つことにしたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。とにかく強い人と打たなければ、碁は強くならないと思ったので、週3回お願いしました。1年では無理と言われたので、日本棋院に電話をして、プロの棋士を月1回派遣していただき、2局打ってもらいました。」

「日本棋院から棋士を派遣してもらうと、どのくらいかかるのですか」と町会長。

「八王子の近くの日野市というところに4段のプロの方がいて、1回2万円で打っていただきました。40年前のことなので、現在の相場は分かりません。」

2020/6/16