「3世代進んだAIだと、人間が考え出すような気候モデルを作ることができるとお考えなのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。人間が考え出す気候モデルは、現在の季候や過去の季候を再現することはできますが、未来の気象を推定するのには限界があります。」

「なぜ、過去の季候を再現できるのに、未来の季候の推定に問題があるのですか」と町会長。

「天気予報を見ると分かるように、半月後の気象を正確に予測することは難しいようです。それでも、昔と比べれば、予報が正確になっているのは、人工衛星などで捉えた気象情報をつかって、予報を補正しているからです。この補正無しに、1年間の天気を正確に予測できるような気候モデルは存在しません。」

「気候モデルは、データーが分かっている現在の季候や20世紀の季候を再現することはできるが、データーが分かっていない未来の季候を予測することは難しいということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです、データーが分かっている現在の季候や20世紀の季候は、作成した数値モデルを、過去のデーターに合わせて補正すれば、再現することが可能です。」

「なるほど。気候モデルというのは、ウェブで見られる『過去の天気』に似たようなところがあるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『過去の天気』は50年前のものでも、正確に表示できますが。未来の天気は、2週間ほど先の予想でも間違っていることがあります。」

「なるるほど。それでは、気候モデルを使って、数年先の季候を予測することは難しいということですか」と町会長。

「この問題は、気候モデルの問題というより、現代科学の抱える本質的な問題と言った方がいいかもしれません。」

「現代科学の抱える本質的な問題と言いますと?」と町会長。

「科学は、僕が子供の頃と比べると驚くほど進んでいます。それと同時に、驚くほど細分化され、専門的になっています。」

「細分化され、専門的になっているのが問題なのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。例えば、実際には、先ほどの天気の予測は、気象予測モデルが使われ、温暖化のような地球規模の気候の変動を予測するには、気候変動予測モデルが使われます。」

「同じ地球上の気象現象なのに、違うモデルが使われて、整合性がないということですか」と町会長。

「整合性が全くないということはありません。気象や気候変動が流体力学の方程式で解けるような問題であるのなら、全く同じモデルで解決できるかもしれませんが、実際には、極めて複雑な問題のようです。」

「そんなに複雑なのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ちょっと考えただけでも、頭が痛くなるくらい複雑です。」

「渡辺さんの頭が痛くなるほど複雑なのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。例えば、先ほど話したように、温暖化に伴う雲の発生は、気象の予測に大きな影響を与えますが、季候にも大きな影響を与えます。いつ、どこに、どのような雲が発生して、どのように気象に影響を与えるかということは、気象モデルにとっても、気候モデルにとっても、極めて重要な情報だと思いますが、流体力学の方程式で簡単に解けるような問題ではありません。」

「雲が発生するのが海上なのか、陸上なのか、平野なのか、高山なのかというような様々な状況を考えなければならないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。長い期間を対象とする気候モデルにおいては、気候の変動に伴う植物相の変化さえ考えなければならないと思いますが、気象予測モデルには必要がないと思います。」

「なるほど。これは、思いっきり、頭が痛くなりそうな研究分野ですね」と町会長。

「この分野は、安倍教授や見延教授のような大天才しか手をださない分野だと思います。」

「それでは、渡辺さんの仮説は、素人の単なる思いつきにしかすぎないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアの情報をベースにして、近い将来、寒冷化が起こるという仮説を作ってみたという話に過ぎません。」

「なるほど。近い将来、寒冷化が起こるという可能性があることを示したかっただけなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/8/13
2020/8/15 「データ」を「データー」に修正。