「『メキシコ湾流が長期にわたる大気圧や風の収束・発散、降水量、さらには対流圏の上層にまで影響を及ぼしている』という事実が、世界中の気象の研究者に衝撃的だったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。この論文が発表されるまでは、メキシコ湾流の直接的な影響は大気境界層とよばれる高度1km以下の場所に限られると考えられていたようです。」

「メキシコ湾流が対流圏の上層にまで影響を及ぼしているということは、メキシコ湾流は赤道付近の海洋貯熱を宇宙に向かって放出しているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。見延教授は、『結局、湾流の直上で,表面風の収束,対流圏上層に到る上昇気流,そして降水の帯が生じており,これらはすべて湾流からの熱放出によっているのです』と言っています。」

「メキシコ湾流が巨大なエネルギーを持っていることを説明しているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。見延教授の論文で、世界は、初めて、メキシコ湾流の巨大なエネルギーに気がついたのです。」

「なるほど。ところで、先ほどの話に戻りますが、北米で大量の雨が降ると大量の雨水でメキシコ湾流に影響が出るということなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。北米には、メキシコ湾流が北上するスピードを減速させると推定されるミシシッピー川があります。」

「ミシシッピ川の水量は、メキシコ湾流の塩分濃度を低下させるほど多いのですか」と町会長。

「ウィキペディアの『ミシシッピ川』によると『五大湖周辺の河川を除くと、ミシシッピ川にはロッキー山脈とアパラチア山脈の間のほとんどの河川が流れ込んでいる。ミシシッピ川本流はアメリカ合衆国中央部の以下の10州を流れている』という説明から分かるように米国最大の河川ですが、流量はメキシコ湾流の1000分の1程度と言われています。」

「それでは、ミシシッピ川の水量が増えて10倍になったとしても、メキシコ湾流の塩分濃度はあまり下がらないのではありませんか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ミシシッピ川は、メキシコ湾に注いでいて、そこでメキシコ湾流のスピードを減速させるとともに、メキシコ湾の表層水とメキシコ湾流になる暖流をかき混ぜる役割をしていると推定しています。」

「ミシシッピ川の流量はメキシコ湾流の1000分の1程度ということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、ミシシッピ川は流れが速いのですか」と町会長。

「ウィキペディアには『ミネソタ州北部のイタスカ州立公園内にあるイタスカ湖に源を発する。イタスカ湖の標高は450mにすぎず、ミシシッピ本流3779kmの長さでそれだけしか高低差がないため、かなりの部分において船舶の航行が可能である』と書いてあります。」

「ミシシッピ川は、船舶の航行が可能なほどゆっくりと流れているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「流量がメキシコ湾流の1000分の1程度で、流速が遅ければ、メキシコ湾流を減速させるのは、難しいのではないでしょうか」と町会長。

「確かに、ミシシッピ川がメキシコ湾流に正面から力で戦いを挑んだら、全く勝負になりません。」

「それでも、北米に大量の雨が降って、ミシシッピ川の流量が増えると、メキシコ湾流が減速して、寒冷化が起こるとお考えなのですね」と町会長。

2020/8/10