「科学が細分化され、専門的になっているのが問題ということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。科学は、僕が子供の頃と比べると驚くほど進んでいます。それと同時に、驚くほど細分化され、専門的になっています。」

「細分化され、専門的になっていると、何が問題なのですか」と町会長。

「分かりやすいところでは、文系の人が温暖化の問題を理解しようとして、ウィキペディアを調べても、偏微分方程式が理解できなければ、ウィキペディアのような誰もが見るサイトでさえ、理解するのが困難です。」

「科学が進んで、文系の人間は理解できないことが多くなっているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。安倍教授や見延教授のような大天才だと、自分が発表する論文に関するようなことであれば、専門外であっても、海外の最新の研究論文をはじからチェックしていると思います。しかし、普通の研究者は、自分の専門の研究分野だけで精いっぱいなのではないでしょうか。例えば、季候を専門に研究している人なら、『雲』が専門とか、『エアロゾル』が専門とか、極めて狭い範囲の研究しかできないのが、現在の科学の現状だと思いますね。」

「気候モデルなども、色々な専門分野に分かれているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「気候モデルを作るとき、最大の問題は、季候がどのような要素から構成されるかという仮説の部分です。」

「渡辺さんの場合、ウィキペディアに書かれている理論を組み合わせて仮説を作っていますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。小脳の機能低下がひどいので、ゼロから仮説を作ることは、どう頭を捻っても、不可能でした。」

「一般の季候モデルでは、どうなのですか」と町会長。

「高校や大学で教える基礎知識をベースにして、研究に必要な本や論文を集めるのが第一歩で、それから時間をかけて問題点の分析をし、季候モデルをどのような仮説に基づいて作るか考えることになるのだと思います。」

「そのとき問題なのは、どのような仮説に基づいて作るかということなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕の場合は、既存の仮説の組み合わせでは、すぐに氷期が来そうもないので、メキシコ湾仮説を発明して使っています。」

「一般の季候モデルでは、どうなのですか」と町会長。

「季候モデルの研究をしたことはないので、詳しいことは分かりませんが、人工衛星などで大量に収集される情報を処理しなければならないので、コンピューターで処理できるように、数値化できる仮説を組み合わせるしか方法がないと思います。」

「それで、温暖化の問題を理解しようとして、ウィキペディアを調べると、偏微分方程式が出てくるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。季候に関する研究は、細分化され、専門的になっていますが、今までに考え出された仮説を組み合わせただけで、未来の季候を正確に予測できるのかという問題があります。」

「なるほど。もしかしたら、メキシコ湾に注ぐミシシッピ川の研究をして、数値化されたモデルを作らなければならないのかもしれないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。科学というのは、不完全なために、発達し続けているのが特徴です。」

「なるほど。最初から完全であれば、発達する余地がありませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。科学の専門化が進むと、その不完全さのために、気候予測のような総合的な科学に問題が生じてきます。」

2020/8/14