「日経メディカルの記事には『まず、気温と感染力の持続期間の関係を検討した。感染価を示すlog TCID50/mLが6.8の、SARS-CoV-2を含むウイルス輸送液をそのまま14日後まで維持し、1分後、5分後、10分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、12時間後、1日後、2日後、4日後、7日後、14日後の時点で、感染価を測定した。ウイルスは、4度では高い安定性を示し、感染価は14日後までほとんど変化しなかった。22度では7日後まで、37度では24時間後まで感染力を維持していたが、56度では30分後、70度では5分後には感染性のあるウイルスは検出できなくなった』と書かれています。」

「『log TCID50/mLが6.8』と言いますと?」と町会長。

「ウイルスに感染すると細胞の形状が変化するらしいのですが、試験に使うウイルス液を希釈していくと、試験に使う培養細胞の半数の形状が変化するというウイルス液の濃度があります。その濃度が6.8ということのようです。倒立位相差顕微鏡というのを使って、細胞の形状変化を調べながら培養細胞の半数の形状が変化するのを確認するようです。」

「頭についている『log』は、対数を表しているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。集団における感染価を対数で表すと正規分布するためらしいです。」

「なるほど。対数で表すとグラフで分析するのが簡単だからですね」と町会長。

「多分、そういうことだと思います。日本では、分析するときだけ、対数にしていたようですが、今では国際的な表記に従っています。」

「それでは、『log TCID50/mLが6.8』は、『10の6.8乗TCID50/mL』という意味なのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「『ウイルス輸送液』と言いますと?」と町会長。

「鼻咽頭ぬぐい液のことかもしれません。」

「『鼻咽頭ぬぐい液』と言いますと?」と町会長。

「新型コロナウイルスに感染した人の上咽頭ををぬぐった滅菌綿棒を入れる筒状の容器に液体が入っているので、鼻咽頭ぬぐい液と言うようです。」

「その容器で、ウイルスを輸送するのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それで、筒状の容器に入っている液を『ウイルス輸送液』と言うのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『ウイルス輸送液』がない場合は、生理的食塩水を代わりに使うこともできます。」

「なるほど」と町会長。

「実を言うと、日経メディカルの記事で重要なのは、『37度では24時間後まで感染力を維持していた』というところです。」

「SARS-Cov-2は熱に弱いのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。肺胞レベルでの空気の温度は、37°Cぐらいです。肺動脈内の温度は37.22±O.11°Cという研究もあります。」

「37度では24時間後までしか感染力を維持できないとすると、人間の体内では、SARS-Cov-2に対して、厳しい、体温による淘汰の圧力が加わるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。その結果、耐熱性の高いSARS-Cov-2に変異したものだけが、増殖を続けることになります。」

「その過程で、感染力が強いウイルスは淘汰されてしまうということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/7/2