「『ヤンガードリアス』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『ヤンガードリアス』には、『ヤンガードリアスは、最終氷期が終わり温暖化が始まった状態から急激に寒冷化に戻った現象で、現在から1万2900年前から1万1500年前にかけて北半球の高緯度で起こった。この変化は数十年の期間で起きたとされている。グリーンランドの氷床コアGISP2の同位体データーはこの間、グリーンランドの山頂部では現在よりも15℃寒冷であったことを示している。イギリスでは甲虫の化石から、年平均気温がおよそ-5℃に低下し、高地には氷原や氷河が形成され、氷河の先端が低地まで前進していたことが示唆される。これほど規模が大きく急激な気候の変化はその後起きていない』と書いてあります。」

「『GISP2』と言いますと?」と町会長。

「『GISP』というのは、『Greenland Ice Sheet Project』の略で、『Ice Sheet』というのは、氷床のことです。」

「グリーンランドの氷床を掘削機で掘って、氷床コアを取り出す計画のことですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。英語版のウィキペディアによると、1971年に、デンマークとスイスと米国が共同で始めたそうです。」

「なるほど。それでは、『GISP2』というのは、その第2弾ですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『GISP2』は米国によって行われたのですが、3053.44メートルの氷床コアを取り出したと書いてありました。最後に岩盤に突き当たってやめたようです。」

「『グリーンランドの氷床コアGISP2の同位体データー』というのは、水を構成する水素と重水素、酸素16、酸素18のことですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「甲虫の化石から、年平均気温がおよそ-5℃に低下したことが分かるのですか」と町会長。

「昆虫は変温動物なので、気温の変化を直接受けてしまうため、気温が低いと成長できないとか、成長できても産卵できないのように、生態に変化が見られます。」

「なるほど。気温が変動すると、昆虫の生態に変化が起るのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。気温が変動すると生息領域も変化します。」

「気温が低下すると昆虫は暖かい土地に移動するのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。分布域の変遷を検討することで気温を推定することもきると思います。」

「なるほど。」

「また、第四紀やそれ以前の時代の化石記録と比較したり、化石になっている昆虫が現在も生息していれば、生息しているところの温度を調査することで、その昆虫が化石になったときの気温が推定できます。DNAを解析することで、化石の甲虫の系統が分かるので、そこから気温を推定できる場合もあると思います。」

「なるほど。昆虫を研究すれば、昆虫の化石からその時代の気温が推定できるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「グリーンランドの氷床コアの分析からも、イギリスの甲虫の化石の研究からも、現在の間氷期に入ったと思ったら、突然、寒冷化して氷河が発達したのは明らかなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「そして、グリーンランドや北アメリカ氷床の融解によって低密度の淡水が大量に流入し、北大西洋での深層水の形成や沈み込みが極度に阻害されて、寒冷化が起こったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。温暖化で北極の大気の温度が上がって、海水の温度が上がり、海氷が少なくなると、海水の塩分の濃度が低くなるので、沈み込む速度が遅くなります。」

「海水の沈み込む速度が遅くなると、寒冷化が起こるのですか」と町会長。

2020/8/4
2020/8/15 「データ」を「データー」に修正。