「長野賞受賞論文によれば、『米国による在米資産の凍結措置の特徴は、米ドル取引が全て米国の金融機関を通じて行われるコルレス銀行業務の構造を利用したものである』ということでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。長野賞受賞論文には、『米国政府は、外交政策や国家安全保障政策に照らして経済制裁の対象国、団体、個人、テロリスト、麻薬取引者、大量破壊兵器拡散に関与する者に対し貿易取引の制限や資産凍結を科している。その執行機関が米財務省外国資産管理室であり、米国民、米国企業は制裁プログラムに基づいて制裁対象が保有する資産を凍結する義務が課されている』という説明があります。」

「それでは、米国の銀行は、米財務省外国資産管理室の制裁プログラムに基づいて制裁対象が保有する資産を凍結したり、貿易取引を制限したりするために、ドル建て決済を止める義務が課されているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「中国のドル建て決済を停止することになった場合、実際には、どうなるのですか」と町会長。

「長野賞受賞論文には、『 「愛国法」第3章は、米国系金融機関に対して遵守義務の強化を定めている。特に、従来、米ドル決済システムの抜け穴となっていたコルレス銀行業務に関し、同法第311条において米財務長官が「マネー・ローンダリングに大きな懸念がある」と認めた外国銀行に対して、米国系金融機関はコルレス口座を開設、維持してはならず(第311条)、外国銀行とコルレス契約のある米国系金融機関に遵守義務を課している。つまり、米財務長官に指定された外国銀行のコルレス口座の使用禁止により、外国銀行は各国の金融機関との米ドル建取引の資金決済を行うことが出来ず、結果、米ドル資産の移転手段を失うことになる』と言う説明があります。」

「『愛国法』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『米国愛国者法』には、『米国愛国者法 英: USA PATRIOT Act)は、2001年10月26日、ジョージ・W・ブッシュ大統領によって署名され、発効したアメリカ合衆国の議会制定法である。法律の頭字語の10文字(USA PATRIOT)は2001年のテロリズムの阻止と回避のために必要かつ適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化するための法律(英: Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001 公立法107-56)を意味する。通称愛国者法(英: Patriot Act)としても知られる。

愛国者法は、テロリストによる2001年9月11日の攻撃に対応するため、特に法執行機関のアメリカ国内における情報の収集に関する規制を緩和し、財務長官が持っている資産の移動、特に外国の個人または存在が関与している場合に対する規制の権限を強化し、法執行機関と移民を管理する当局がテロ行為に関係があると疑われる人物の拘留または国外に追放するための規制を緩和するものである。愛国者法はまた、国内におけるテロ行為を含めるようテロリズムの定義を拡大し、こうして愛国者法は法執行機関の権限が適用される行為の範囲を大幅に拡大した』と言う説明があります。」

「なるほど。それでは、『愛国者法の執行機関が米財務省外国資産管理室であり、米国民、米国企業は制裁プログラムに基づいて制裁対象が保有する資産を凍結する義務が課されている』ということになるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、中国はテロリストと同じ扱いになるのですか」と町会長。

「実は、長野賞受賞論文が書かれたのは、『香港自治法』がなかった2011年です。」

「それでは、中国に適用されるのは、『愛国法』ではなく、『香港自治法』なのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/9/18