「ウィキペディアの『アラン・チューリング』に、『出発点は数学であったが、第二次世界大戦中に暗号解読業務に従事した。また黎明期の電子計算機の開発に携わった事でコンピューター・情報処理の基礎理論である計算可能性等に関する仕事をすることとなった・・・第二次世界大戦の間、ブレッチリー・パークにあるイギリスの暗号解読センターの政府暗号学校で、ドイツの暗号を解読するいくつかの手法を考案し、英国の海上補給線を脅かすドイツ海軍のUボートの暗号通信を解読する部門の責任者となった』という記述があります。」

「アラン・チューリングが、ドイツの暗号を解読するのにラプラスの統計学を使ったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「シャロン・バーチェ・マグレインの『異端の統計学』に『チューリングが開発しようとしていたのは、自家製のベイズ・システムだった。特定のメッセージを暗号化する際に用いられたエニグマの設定を突きとめるというのは、原因の逆確率の古典的な問題だった』という記述があります。」

「『エニグマ』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『エニグマ』に、『エニグマとは、第二次世界大戦でナチス・ドイツが用いたローター式暗号機である・・・大戦中に連合国側はエニグマ解読に成功したが、その事実は徹底して秘密にされ、ドイツ軍は終戦までエニグマを使用し続けた』という記述があります。」

「『原因の逆確率』と言いますと?」と町会長。

「『原因の逆確率』という表現は、数学的な発想なので分かりにくいのですが、エニグマの例で説明すると、入手した暗号文を『結果』として考え、暗号文を作る元となったエニグマの設定を『原因』と考えたとき、『原因』となる設定に対する推測がどの程度正しいかを『結果』から確率的に計算するので、『原因の逆確率』と言われることがあります。」

「原因から結果ではなく、入手した暗号文という一種の結果から遡って、エニグマの設定がどうなっているのかという一種の『原因』となるものを確率的に計算するので、『逆確率』と言われるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。最初は、エニグマが、どのような設定になっているか分かっていないので、過去の情報から推定して仮説を作り、確率で正しさの度合いが計算できるように数値で設定します。そして、その後に入って来た情報で、仮説の正しさの確率を修正していくという方法を取ります。」

「新しいデーターが手に入るごとに、仮説の正しさの度合いを示す確率が修正されていくのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。データーが多ければ、より正確な原因が推定できるので、大量のデーターが処理できるコンピューターに向いています。」

「日本も、米国に暗号を解読されて、戦艦大和が沈没してしまいましたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。暗号の解読法は、軍事的秘密だったのですが、コンピューターの発達とともに、さまざまな分野で使われるようになります。」

「どういう分野で使われるようになったのですか」と町会長。

2020/11/19