「MERSコロナウイルスの自然宿主がコウモリだとした場合、なぜ、RNAポリメラーゼ領域におけるアミノ酸配列の相同性とスパイク蛋白質の相同性の間に違いが生じたのでしょうか」と町会長。

「コロナウイルスは、RNAウイルスなので変異が激しいというのが、最大の理由です。」

「新型コロナウイルスも、渡辺さんが言ったように、変異が起こり、感染力が強くなっていますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。新型コロナウイルスは元々変異が激しいという性質とともに、体温が自然宿所のコウモリより高い人間に対しては感染しにくいという淘汰圧を受けています。その結果、変異によって感染力が高くなったものが生き残って、感染を広げるという特徴を示します。」

「国立感染症研究所の『MERSコロナウイルスの宿主としてのラクダについて』に、『ウイルスRNAポリメラーゼ領域におけるアミノ酸配列の相同性は90~92%である一方、ウイルスの細胞侵入や中和に関係しているスパイク(S)蛋白質では64~67%であったため、SARS-CoVと同様に数種のコウモリコロナウイルス間での遺伝子組み換えの結果誕生した可能性が示唆されていた』と記載されていましたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。スパイク蛋白質はウイルスの細胞侵入に関係しているので、スパイク蛋白質が変異を起こして感染性が強くなったウイルスが感染を広げることになるということですね。」

「それでは、変異を起こさないウイルスは、どうなってしまうのですか」と町会長。

「基本的には、変異で感染力が強くなったウイルスが先に感染すると、変異していないウイルスは感染できなくなってしまいます。」

「しかし、2回新型コロナウイルスに感染したという人がいますが」と町会長。

「神戸大学の『神戸大学とシスメックスがCOVID-19の新たな血液検査法としてELISPOT法の臨床評価を実施』に、『オックスフォード・イムノテックが開発した研究用試薬キット「T-SPOTRDiscoverySARS-CoV-2」は、感染したSARS-CoV-2の特異抗原の刺激によってインターフェロン(IFN)-γを分泌するT細胞数を計測し、SARS-CoV-2への過去の暴露や潜在性感染の確認を可能にします・・・このたび、神戸大学医学部附属病院バイオリソースセンターらの研究グループとシスメックスは、本キットを用いて日本人の非感染者10例、COVID-19回復者15例の血液におけるT細胞免疫応答を検証しました。その結果、COVID-19回復者は全症例でT細胞免疫応答が亢進していることが示された一方、非感染者では全症例で認められない結果が得られました』という記載があります。」

「『特異抗原』と言いますと?」と町会長。

「goo国語辞書の『特異性』に、『抗体の、特定の抗原とだけ反応する性質』という説明があります。」

「それでは、『感染したSARS-CoV-2の特異抗原』とは、T細胞を反応させる、感染したSARS-CoV-2に特有の抗原ということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。新型コロナウイルスに感染すると、血中リンパ球のひとつであるT細胞が、感染したSARS-CoV-2に特有の抗原と強く反応するようになるのだと思います。」

「なるほど。T-SPOTRDiscoverySARS-CoV-2は、感染したSARS-CoV-2の特異抗原の刺激によってインターフェロン(IFN)-γを分泌するT細胞数を計測するということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ウィキペディアの『インターフェロン』に、『インターフェロンとは動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質のこと。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種である』という説明があります。」

「SARS-CoV-2に感染したことがある人から採取した血液にSARS-CoV-2の特異抗原を加えると、T細胞がインターフェロン(IFN)-γを分泌する免疫応答反応が起こるので計測できるということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『日本人の非感染者10例、COVID-19回復者15例の血液におけるT細胞免疫応答を検証しました。その結果、COVID-19回復者は全症例でT細胞免疫応答が亢進していることが示された一方、非感染者では全症例で認められない結果が得られました』と記載されていますから、COVID-19に感染した人には、COVID-19の免疫に関する記憶が残されているのは間違いないと思います。」

「それでは、なぜ、2回感染した人がいるのでしょうか」と町会長。

2021/1/12