「ミミズですよ。」

「猪はミミズが好きなのですか」と町会長。

「とてもおいしいようです。」

「食べているのを見たことがあるのですか」と町会長。

「イノシシが食べているのを見たことはありませんが、猫がミミズを好きなのは知っています。100円ショップの猫缶なんか見向きもしないようなグルメの猫でもミミズは食べます。今時の猫は、サンマの頭なんか見向きもしませんが、ミミズには目がないようです。」

「知りませんでした。猫にミミズをあげたら喜びますね」と町会長。

「喜ぶと思いますが、病気になってしまいます。」

「ミミズは、猫の体に合わないということですか」と町会長。

「おいしいものは体にいいと思いますが、ミミズは線虫やネコ回虫の中間宿主です。」

「ミミズを食べると、猫に線虫や回虫が寄生するようになるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。線虫の幼虫は腸から肺、腎臓の順に移動し、最後に膀胱で増殖するようです。」

「ちょっと怖い話ですね。ところで、あのライトで猪が来なくなったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。虫と同じように、イノシシもLEDの光が嫌いです。」

「LEDの投光器があれば、猪対策は完全なのですね」と町会長。

「残念ながら、イノシシはそんなに甘くはありません。投光器を理解して、夜間しか光らないことが分かれば、人が寝ている早朝やって来て、苔をグチャグチャにし、ついでに投光器をひっくり返して帰ります。投光器はよほど嫌いだと見えて、光らない朝方に仕返しするようです。」

「猪は仕返しするのですか」と町会長。

「イノシシとは、性格が分かるくらいまでやりあったので間違いないと思います。投光器をひっくり返すのは、『これでどうだ。投光器なんか何でもないんだぞ』というデモンストレーションとしてやっているようです。」

「人間に近いところがあるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。イノシシは荒らし方を見ると、ハイゴケは好きなようなのですが、スナゴケとスギゴケはにおいが嫌いだと思われました。それでハイゴケは庭に来れば荒せるようにしておいて、庭の周辺にイノシシが嫌いだとされるものを置いて効果測定をしました。」

「ハイゴケが荒らされていれば、効果がなかったことが分かるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。絶対来ないようにするとイノシシの習性が分析できませんからね。」

「なるほど。苔は荒らされていないので、電気柵がなくても庭に猪が来なくなるまでやりあったということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。おかげで、イノシシが何を考えているのか、どこを狙ってくるのかが分かるようになるりました。」

2019/11/30